第20回東日本国際駅伝の大会レポと途中経過など
第20回東日本国際駅伝の大会レポと途中経過など
ゲートの手荷物チェックは思いのほか厳しい。荷物は精査され水筒の中身チェックのため蓋を開けにおいをかいだり毒味をさせられたりと徹底している。
この徹底した手荷物チェックに過去最高の参加人数という要因が重なりスタート時間が1時間もずれ込んでしまった。
自分たちは8時ちょっと過ぎという比較的早めの到着で、この時間帯だと待ち時間もなくスムースにゲートを通過できたが、時刻ぎりぎりに来ていた人たちはさぞやきもきしたことだろう。
会場に到着し受付で封筒と引き替えにゼッケンとRCチップを受け取る。RCチップはアンカーの走者だけが取り付ける。
ストレッチや軽めのランニングを行い食事をとる。食事はすぐにエネルギーになりやすい菓子パン。その他チョコレートなどを適当に食す。飲み物はVAAMとアミノパウダーをチャンポンにしたもの。
コース内はスタート時刻のぎりぎりまで自由にテスト走行が可能となっている。ついでにタスキの受け渡し場所、各自の待機場所などをチェックしておくと本番になって戸惑わないで済む。
1区走者の友人とアップをし終わり彼が整列したところでスタート時間順延のお知らせが流れた。アップ終了→整列後の1時間はとてつもなく長い1時間だ。体、気持ちのテンションともに冷えきってしまい再ウォーミングアップと気持ちの入れ直しを余儀なくされる。
一度仕上がってしまった体を再度仕上げ直すのは難しかったはずだ。時間に合わせきっちりと調整した彼にとってこれはアンラッキーなトラブルとなった。
待機時間中陸協の方にいろいろと話を伺った。参加人数の急増によりタスキ受け渡し時の混乱やトラブルなどが予想されるため、今年からタスキ受け渡し場所や受け渡しの方法が変わったようだ。
外部から専門家を招聘し、だいぶ工夫したとのこと。その成果は存分に発揮されなんの混乱もなくスムースにタスキ受け渡しができていた。日産スタジアム駅伝のように係員の怒号が飛ぶようなこともなかった。
1区走者からタスキを受け取り、まず初めにしたことがペースメーカー探しだ。男女混成の部は一般男子の部よりも「本気度数」が低い。従って2区においてもキロ4分台で走るランナーはされほど多くはなかった。
幸い好フォーム好ペースで走るチームTシャツを着用したランナーを見つけその方について1kmほど進んだ。このときのペースはおそらくキロ4分30秒〜40秒だったはず。
このペースを維持してもひたすら抜き続けることはできたが、4分5秒ペース走りきることが目標の自分にとってはヌルすぎるペースでしんどくなるの覚悟でその方を追い抜き次に付くべきペースメーカーを探した。
ペースアップ前の自分を追い抜いたサッカーファッションに身を固めた方が少し前を走っていた。ペースメーカーにするには早すぎるようにみえたが死ぬ気でその人に食らいついて行こうと決めた。
サッカーの人はポンポンと弾むように軽快に進んでいく。このときのペースはおよそキロ3分後半〜4分ジャストだったはず。あまりのハイペースに途中何度か離脱しようと考えたがいまこの人を失うとなし崩し的にペースダウンするでろうことは自明だった。文字通り死ぬ気で付いていくしかなかった。
「そろそろ半分だよ〜」という係員の方の悪気のないお言葉は「この疲労感的にもうそろそろゴールだろう」と甘美な思いに浸っていた自分の心を打ち砕くには十分であった。葛西ナイトマラソンの時は同じ言葉を聞いて「えーもう半分?嘘でしょ?そろそろまじめに走らねば!」だったのに今回は真逆。飛ばしすぎであることは明白だった。
それでもどうにかこうにか吸水所までたどり着いた。陽射しが強く気温も高くなっていた。要水分補給な状態だがサッカーの人は吸水所を見向きもしない。水を取ったら再び追いつくのは無理そうだ。そう判断を下し吸水をあきらめサッカーの人を追い続けた。
ここまではひたすら抜き続けた。おそらくン百人は抜いはずだ。ラスト1km。ペースアップしたかったが完全にガス欠。付いていくだけで精一杯。ラスト500m。サッカーの人がラストスパート。付いていけるはずもなく彼とはここでお別れとなってしまった。
それでもかなりペースダウンしたであろうラスト数百メートルの自分が抜かれることはなかった。後半はみな一様にして高すぎる気温と強い陽射しに苦しんでいたのではないか。
ヘロヘロで3区走者の相棒殿にタスキを渡す。倒れ込んで時計を見ると24分35秒。スタート時、時計を押すタイミングが若干遅れたことを考えると24分45秒〜25分ジャストくらいのタイムだろう。
1キロにすると4分10〜13秒ペース。気温や体調などを考えればまずまずのタイムで力は出し切れたと言ってもいい。前半1.5kmを4分30秒ペースで抑えたという貯金がなければ途中で歩いていたかもしれない。アホな自分も場数を踏んで賢くなったのだ。
3区走者は相棒殿。こちらもキロ5分ペースという好ペースで2.2kmを走りきりタスキをつないでくれた。
男女混成の部における3区は距離のわりに重い役割を担っていると言っていい、3区走者の人たちをみていてそんなことを思った。
というのも、3区は2.2kmと距離が極端が短い。従って大半のチームがこの区間に「止まる可能性のある人」あるいは「極端に遅い人」を持ってくる。
自分たちのチームは極端に早いのもいなければ極端に遅く流れを止めてしまうのもいない。駅伝という競技においてこれは大きな武器となる。
そういう意味で流れを止めてしまう可能性が最も強い3区という区間をキロ5分ペースでつないでくれた相棒殿の貢献度は距離やタイム以上に大きいもので好成績に大きく寄与したといえるのではないか。
アンカー走者も本来の実力通りの好走をみせ1時間20分16秒の131位という着順でゴールイン。1104チームが出場する中131位という順位は立派なものだ。大会前は全員が緊張し大会後は全員が歓喜にわき素直に楽しかったと言えたこと。それがなによりもうれしかった。
駅伝とはタスキと同時に気持ちや流れもつないでいくスポーツである、その思いをさらに強くした大会であった。
自転車もいいけどランニングもやっぱり楽しい。
大会運営や雑感など
スタート時間の順延や仮設トイレの汚損には閉口したが明るい挨拶や的確な説明など大会運営側の対応はおおむね良いものであった。
基地の兵隊さんがマイペースで焼いてくれるあぶりチキンやポテト、おむすびなど食べ物もおいしかった。
ほかの駅伝大会がどうなのかはわからないが、この大会に限って言えるのは「男女混成の部」が花形のカテゴリーということだ。この部の参加チームはカテゴリー最多の1000チーム以上でもっともにぎやかな応援合戦が繰り広げられる。
一般女子、一般男子に先立ってのスタートとなるため応援団も元気いっぱいだ。身近に「走れる女性」を見つけたなら是非この大会に誘ってみてほしい。決して後悔はしないはずだ。